jinseisokosokoのブログ

「女は灰になるまで女!」という格言?を信条に、灰になるまで恋愛を楽しみます♬ 恋愛は人生のスパイス!たまには刺激がなくちゃ楽しくない(笑)

とある田舎に、時間の流れが止まってしまったかのように未だに昭和の雰囲気を残すスナックがある。

そこを切り盛りするのは80歳を超えたママ。

体のあちこちが痛いと毎日不平不満をこぼしながら、カウンターの中に座り焼酎の水割りを窘める。

口を開けば不満ばかりなのに、何故か可愛らしく感じさせる独特の雰囲気を持っている。

これが人徳というものなのかもしれない、と思わせる何かがある人だ。

歳のせいか、何をするのも面倒になってしまったママに代わり、雑用をこなしているチーママ。

このチーママは天然素材も手伝って、いつもニコニコ笑顔を絶やさず、周りの雰囲気を和ませるマスコットキャラのような人だ。

ママの代わりに雑用をこなし、従業員の愚痴を聞き、笑いに変えていく。

そして、そのチーママに愚痴をこぼしている従業員というのが、この物語の主人公でもある[わたし]なのだ。

このスナックで働くようになってもう6年ほどになるだろうか・・・。

 

元々、[わたし]は都心のラウンジでホステスを長年やってきた。

色んな人と付き合ってきたが長続きせず、いつしか結婚なんて「自分には縁のないもの」と思い始め、「このままずっとこの街でホステスを続けていくんだろうな~」と漠然と思っていた頃、友達の紹介で知り合った人と結婚する事になり引退をした。

そんな結婚生活も長くは続かず、数年で破綻。

計画性のない[わたし]は貯金もなく、仕方なく実家に帰る事に。

人生の大半をホステスとして過ごしてきた[わたし]は、またこの町でホステスとして働くことにした。

たまたま[わたし]の家族とママが知り合いだったこともあり、この「昭和の香り」のスナックで働くことになった。

 

毎日毎日、地元の常連客しかこない田舎のスナック。

1年も勤めれば大体の顔触れは覚えてしまい、そのうち代わり映えしないその顔触れに嫌気をさしてきてしまう・・・。

これが毎日新しいお客さんと出会ってきたせいなのか、[わたし]が飽き性なのか・・・。

 

1年経った時には、毎日同じ顔触れと同じ会話を繰り返すことに嫌気がさして、お店を辞めてしまった。

辞めて数ヶ月は、しがらみから逃れた気分で朗らかに過ごしていたけど、段々と何か物足りなさを感じてくる・・・。

 

長年、飲み屋の雰囲気の中で生きてきた[わたし]には、その雰囲気なしでは生きていけない体になってしまったようだ。

仕方なく「飲み屋の雰囲気なしでは生きていけない体」を認めて、お店に出戻ることにした。

 

この出戻りも[わたし]の人生では初めての事。

昔は「1度辞めると決めた店に戻るなんてありえない」事で、どれだけ引き留められようと、縋られようと戻ったことはなかった。

 でも、[わたし]は戻った。

 

それが田舎の良さなのか、[わたし]が歳を取ったからなのか・・・自分でも正確には分からない。けど、戻った事によって私の「私の考え」という固定概念が少しづつ変わっていったのは確かだ。

 

それまでは「ホステス(接客業)はこうあるべき」や「お店はこうあるべき」といった、今までの「私の中での」常識に囚われていたけど、このお店にきてからは悉く覆されてきた。

 

当初はそういった考えと違う事にイラつきストレスを溜めて「辞める」という選択肢になったわけだが。

そんなことを何回か繰り返すうちに、「ここはそういう所」と割り切ることが出来るようになって、心穏やかに生きていられるようになった。

 

こんな経験は初めての事で、最初は戸惑ったけど最近ではそんなぬるま湯に浸かりながらふやけるのが楽しくなってきた。

 

さぁ、今日はどんな人が来て[わたし]をふやけさせてくれるかな?